大甕屋十郎太(おおがめや じゅうろうた) の日記
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大甕屋の 千年熟成 焼酎サーバー
2011.02.18
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千年熟成の命名の際に考えたこと
人生の時間的尺度において”千年”という歳月の長さは具体的にイメージできる範囲でかつ”永久”とか”永遠”に通じる言葉であろうと思います。欲張って”万年”と表現しますと”万年床”などのように状態をあらわす場合も有り、イメージ的にもよろしくない部分もあったりします。では”百年”ではどうか?と考えますと先祖代々とか子々孫々を考えるうえで不足です。もうひとつ最大かつ最重要の、ほとんど決定的な要素があります。それは、この焼酎サーバーに使われている壺は備前焼作家の新作ですが、千年近く昔から同じ技法で造られ重用されてきた古備前の壺が厳然と現在に伝えられているという事実です。時代を遡って千年の物が具体的存在として実在するわけですから、これから未来に向かって千年の伝えていくべき存在について構想することは誇張でも空想でもありません。具体的事柄なのです。
大甕屋の千年熟成焼酎サーバーは蔵の奥にしまいこんで保管するということではなく、日常使いながら、愛しみながら、家族の歴史とともに歩み、家族を見守り続け子々孫々に使い伝えていく存在として構想し制作したものです。もちろんポンプや蓋は時には補修や交換が必要になるかもしれません。しかし本体の壺は上述の通り価値を減ずることなく、というよりむしろ、かけがえのない価値を含みながら後世に伝えられていくことになります。
時代を経て伝えられていく酒は芳醇な熟成香と味わいを後世に贈ることになりますが、それ以上に家族の存在、精神、歴史を伝えていくことになります。仕注ぎの記録だけではなくその時々の家族の出来事などを記録するための記録帳が付属しています。(”仕注ぎ”については「千年熟成サーバーの構成と使い方」をご参照ください)